卍ブログ

のうみそ文章置き場 ポエム

2020-01-01から1年間の記事一覧

内証

かつて私は苦痛を神格化していた。もろもろの問題・苦痛から逃避する手段として童心の私はより直接的な痛みに救いを見出すようになった。 錆びたカミソリで刻まれたようなもどかしい痛みに苦しんだ末に、矛盾しているようでもあるが、より研ぎ澄まされた劇的…

書き殴り・書きつけ・散文

自分に優しく居るために、髭を剃って、髪を切って、毎日お風呂に入って、好みの服を買う。作業の合間のコーヒーにはレモンを入れる。それも自分に優しくあるためだった。 世界は僕に優しくないから、僕だけは自分に優しくしないといけない。 問題を避ける一…

善行

それは本当のところ、あなたのためじゃないんだ。ただ私がほんの些細なことでいいから、良い事をしたいだけなんだ。それでもって、名も知れぬ誰かに少しばかりの時間だけでいいから、その胸中にささやかな好感を抱いてほしい故なのだ。たったその程度で、私…

色彩を欠く

私はどこに行くにも本を持ち歩く習慣がある。梶井基次郎の’’檸檬’’もその一つだ。 ある男が気力を失い、世界から色彩を無くす。裏路地の八百屋でレモンを買い、その艶やかなレモンイエローに想像力を刺激され、自由を透かし見て、慰めを得る。そういう話。 …